こんにちは、華ずしの板橋です。
今日は、消費期限、賞味期限のお話をします。
消費期限と賞味期限の違いは?
普段から良く聞く消費期限と賞味期限、その違いはご存知ですか?
消費期限
商品を開封していない状態で、表示に記載されている保存方法守っている時に、その日やその時刻まで安全に食べられますよ。という表示です。
お寿司や、お刺身、ケーキや、お弁当など足の早い食品に多いです。
賞味期限
商品を開封していない状態で、表示に記載されている保存方法守っている時に、年月日まで美味しく食べられますよ。という表示です。
カップ麺、缶詰、スナック菓子など長い期間の期限がある物が多いです。
賞味期限は、指定日になったらすぐに食べられなくなる訳では無く、この日までは美味しく保証しますよという感じです。
開封したらどうなの?
一度開封してしまうと、菌が混入するリスクがあります。ですので、期限にかかわらず早めに食べた方が無難ですね。
ちなみに、私のイメージは、1週間以内の食品は消費期限が多く、1週間以上のものは賞味期限のものが多いです。
消費期限、賞味期限はどうやって決めるの?
賞味期限、消費期限を決めるには、3つの要素で決められます。
理化学試験、微生物試験、官能試験。
この3つで期限を決めます。
では、わかりやすいように、うちの鯖寿司の消費者期限の場合をみてみましょう。
鯖寿司の賞味期限を決めよう!
まずは、衛生的な状態で鯖寿司を作ります。
さて、これは何日持つだろう?酢飯と〆さばだから、、、4日という所かな。
まずは、作り立ての状態で菌数がどのくらいか検査をしてみよう。
①初発検査
まずは、微生物検査を行い、一般性菌数を調べます。
初発とは、作り立ての状態で菌数がいくらあるの?と調べるものです。
ここで、製造時の衛生状態や加工工程が悪ければ菌数が出てしまいますので、そしたら見直しです。
ちなみに先日の初発検査鯖寿司は300/gでした。優秀!!
クリアすればうちでは、理化学試験に入ります。
②理化学試験
物の硬さやpH、水分量、油脂などを検査します。
ここで4日と当たりをつけていた日程まで経過観察。
問題なければ、同時に2度目の微生物試験。
③微生物試験(2回目)
当たりをつけた4日で菌数をチェック。
ここでは、お客様や販売店舗の状態を加味して条件設定を行います。
例えば、冷暗所、4日ならば、20℃で96時間など。
温度帯で菌数の増加率が変わってきますので、ここ大事です。
結果、お弁当の基準は10万/g以下となりますので、これをクリアしているかの確認。
卸先によって、もっと厳しい基準値の所もあるので、厳し目にやります。
納得できれば、次の官能試験。
④官能試験
官能試験では、要は食べて美味しいかチェックです。
お客様の手元に届いたこの商品は、日数の経過で味が落ちていないのか?どのラインまでメーカーとして許容できるのか。というのをチェックします。
鯖寿司に関しては、握りたてよりも、竹の皮に程よく水分を吸われてちょうど良くなった2日目の物が私は好きですが、ここでは、何日まで美味しく食べれるかチェックを行ます。
基本、食品は作り立てから味の劣化が行うと言う前提で組まれていますので、それを踏まえて。
(発酵食品とかは、また違う考え方なんだろうな、、。調べてみます。)
華ずしでは、みんなで食べ、3日目まで味がOKという事で3日に設定。
⑤消費期限設定
ここで、消費期限3日に設定。
この日までは安心して食べられますというのはこう言った根拠をつけて設定されています。
一応、この3つの検査を全てやらなければならない訳では無く、極端な所、訓練されてしっかりとした合理的な判断がくだせれば、官能試験オンリーでも良いとか。
でも、鯖寿司の場合は、食品衛生法の兼ね合いがあるので、微生物試験必須!
賞味期限の設定は?
賞味期限は、その食材により基準の期限があり、それを元に菌検査等を行ます。
この時、食味検査と菌検査を含めて、大丈夫な値の2/3の値で設定する事が多いようです。
ここは各々の企業判断になると思います。
ちなみに、弊社の冷凍鯖寿司は、冷凍食品なのでガイドラインによると12ヶ月から15ヶ月が設定ラインとしていますが、食味検査とお米の状態に万全をと言う事で4ヶ月まで自信を持って大丈夫と言う事で1/2の2ヶ月に設定しています。
消費期限超えた食品について
実際、それを超えたらもう食べれないと言う事?
正直、生産者側としては、保存状態、開封済みかなどの様々な保存条件が絡んで来るので、食べても大丈夫ですよ!と言う無責任な事は言えません。
ただ、保存条件を守っていただければ、その日時まではしっかり保証できます!と言うのが、消費期限です。ご参考に。
鯖寿司の消費期限を超えてしまったら
良く聞かれますが、食べないで欲しいです。
設定した消費期限まで美味しい!と自信を持って出しているのですが、仮に期限が切れた物を食べて美味しくなかった、、。となってしまうのは申し訳ないし心苦しい。
我々は、良い素材を技を使ってより美味しくし、それをベストの状態で味わっていただきたい。ですので、超えたら食べないでください。
余談:水分量によって期限は短くなります
水分は微生物の餌になります。ですので、含まれる水分が多いほど腐敗と正菌数が増えやすい環境にあります。
例えば、お魚。生の状態ですと、すぐにダメになってしまいますが、塩をして水分量を低下させてあげれば長持ちしますよね?(干物など)
さらに、殺菌力のある酢を、浸透圧を利用して内部の水分を酢と交換してあげると〆鯖。これも生の状態に近いですが、よく考える生魚とは全然違う物なっていますよね。だから持ちが良い。
この辺りは先人の知恵なので、いつか〆さば、塩鯖の作り方を書く時に熱く語ります。
ちなみに、お米とシャリの違いも同じ原理で、お米が炊き上がった際に蒸気が出て、この時に素早く寿司酢と合わせる事により、内部の水分を入れ替えてシャリの出来上がり。
シャリは酢が入っていますが、それでも水分量は多いので、〆鯖よりは長持ちしません。
あとは、油脂の酸化も劣化の原因となりますが、これについても今度で。
以上、消費期限、賞味期限についてでした。